掌蹠膿疱症性関節炎
掌蹠膿疱症性関節炎は、手のひら・足の裏に膿を含んだ小さな水ぶくれ(膿疱)ができる 掌蹠膿疱症に、胸鎖関節や脊椎などの関節炎が合併する病気です。
1. 疾患概念(どんな病気か)
掌蹠膿疱症性関節炎は、皮膚の炎症と骨・関節の炎症が関連して起こる病気で、 胸の真ん中(胸骨と鎖骨のつなぎ目)や背骨、骨盤まわりの関節に痛みが生じます。
2. 疫学的知見(どのくらいの人がかかるか)
中年以降の女性に比較的多いとされます。 喫煙歴や扁桃炎、虫歯・歯周病、金属アレルギーなどが関係すると考えられています。
3. 病態生理(体の中で何が起きているか)
扁桃や歯周組織などに存在する慢性の炎症・感染が、免疫反応を介して皮膚や骨関節に波及し、 掌蹠膿疱と骨・関節炎を引き起こすと考えられています。
4. 症状(どんな症状が出るか)
- 手のひら・足の裏に繰り返し出現する小さな膿疱と皮むけ
- 胸鎖関節部(胸の中央付近)の痛み・腫れ
- 背中や腰の痛み、朝のこわばり
- 肋骨と背骨の付け根の痛み
5. 検査(どのような検査をするか)
- 皮膚の診察:掌蹠膿疱症の有無を確認します。
- レントゲン・CT・MRI:胸鎖関節や脊椎、胸骨周囲の骨変化や炎症所見を調べます。
- 血液検査:炎症反応などを確認します。
- 歯科・耳鼻科で、扁桃炎や歯周病などのフォーカス(炎症源)の有無を調べます。
6. 診断(どのように診断するか)
掌蹠膿疱症の皮膚所見に加え、特徴的な部位(胸鎖関節、胸骨まわり、脊椎など)の骨・関節炎があるかどうかを総合して診断します。
7. 主な合併症(起こりうる別の病気・障害)
- 関節・骨の変形や可動域制限
- 慢性的な痛みによる生活の質の低下
8. 治療(どのように治す・抑えるか)
- NSAIDsで痛み・炎症を和らげます。
- ビタミンD製剤や一部の生物学的製剤が用いられることがあります。
- 扁桃摘出や歯科治療など、慢性炎症の原因に対する治療が有効な場合があります。
- 禁煙や生活習慣の見直しも重要です。
9. 予後(今後の見通し)
皮膚や骨・関節の症状は長く続くことがありますが、原因となる炎症源の治療や、 適切な薬物療法により改善する例も多くあります。 長期的なフォローを通じて、痛みのコントロールと機能維持を目指します。