炎症性腸疾患関連脊椎関節炎

炎症性腸疾患関連脊椎関節炎は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に 脊椎関節炎や末梢関節炎が合併する病気です。

1. 疾患概念(どんな病気か)

腸の慢性的な炎症に関連して、背骨や骨盤の関節、手足の関節に炎症が起こり、 腰痛や関節痛を生じる病気です。脊椎関節炎グループの一つに分類されます。

2. 疫学的知見(どのくらいの人がかかるか)

潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんの一部に関節炎が合併します。 腸症状の経過と関節炎の活動性が連動する場合もあれば、必ずしも一致しない場合もあります。

3. 病態生理(体の中で何が起きているか)

腸管内の炎症や腸内細菌の変化が免疫系を刺激し、その影響が関節や脊椎に及ぶと考えられています。 HLA-B27という遺伝的素因が関与することもあります。

4. 症状(どんな症状が出るか)

  • 慢性的な腰痛・おしりの奥の痛み(仙腸関節炎)
  • 朝のこわばり、動き始めの痛み
  • 膝・足首などの関節の痛み・腫れ
  • 腸の症状(下痢、血便、腹痛)

5. 検査(どのような検査をするか)

  • 血液検査:炎症反応、貧血、栄養状態などを評価します。
  • レントゲン・MRI:仙腸関節や脊椎の炎症・骨変化を確認します。
  • 大腸内視鏡・小腸検査:腸の炎症の範囲や程度を評価します。

6. 診断(どのように診断するか)

炎症性腸疾患が既に診断されている場合に、特徴的な腰痛や関節炎、画像所見を認めれば、 炎症性腸疾患関連脊椎関節炎と診断されます。

7. 主な合併症(起こりうる別の病気・障害)

  • 関節の変形・可動域制限
  • ぶどう膜炎(目の炎症)
  • 骨粗しょう症、栄養障害

8. 治療(どのように治す・抑えるか)

  • 腸の炎症を抑える治療(5-ASA、ステロイド、免疫調整薬、生物学的製剤など)が関節炎にも効果を示すことがあります。
  • NSAIDsは腸症状を悪化させることがあり、慎重に使用します。
  • TNF阻害薬など、一部の生物学的製剤は腸と関節の両方の炎症に有効です。

9. 予後(今後の見通し)

腸の病気と関節の病気を同時にコントロールすることが重要です。 消化器内科とリウマチ膠原病内科が連携し、治療内容を調整しながら長期的な管理を行います。