反応性関節炎
反応性関節炎は、腸炎や尿道炎などの感染症のあとに、 関節内には菌がいないのに関節炎が起こる病気です。
1. 疾患概念(どんな病気か)
先行する感染症(下痢、尿道炎、性器感染など)の数週間後に、 主に下肢の関節に炎症が起こる関節炎です。以前は「ライター症候群」と呼ばれていた病態を含みます。
2. 疫学的知見(どのくらいの人がかかるか)
若年〜中年の男性に比較的多く、HLA-B27陽性者で発症しやすいことが知られています。 先行感染の原因菌としては、クラミジアやサルモネラ、カンピロバクターなどが知られています。
3. 病態生理(体の中で何が起きているか)
初期に起こる感染症をきっかけに、免疫反応が活性化し、 関節や腱付着部に炎症が起こると考えられています。 関節内には生きた菌は存在しない点で、いわゆる化膿性関節炎とは異なります。
4. 症状(どんな症状が出るか)
- 膝や足首など下肢の関節痛・腫れ
- かかとや足底の痛み(腱付着部炎)
- 尿道炎・下痢などの先行感染症状(すでに治まっていることも多い)
- 結膜炎、ぶどう膜炎
- 皮疹(角化性皮疹など)が出ることもあります
5. 検査(どのような検査をするか)
- 血液検査:炎症反応やHLA-B27の有無などを調べます。
- 尿検査・便検査:先行感染の原因の手がかりとします。
- 画像検査:関節や腱付着部の炎症を超音波やMRIで確認することがあります。
- 関節液検査:関節内に細菌がいないことを確認し、化膿性関節炎と区別します。
6. 診断(どのように診断するか)
先行感染の既往と、下肢を中心とした非対称性の関節炎、 化膿性関節炎を否定できることなどを組み合わせて診断します。
7. 主な合併症(起こりうる別の病気・障害)
- 慢性的な関節痛
- ぶどう膜炎
- まれに慢性の脊椎関節炎に移行することがあります
8. 治療(どのように治す・抑えるか)
- NSAIDsで関節炎の痛みを抑えます。
- 必要に応じてステロイドやDMARDsを用いることがあります。
- 初期の感染症が残っている場合には、抗菌薬が必要になることもあります。
9. 予後(今後の見通し)
多くの場合、数ヶ月以内に関節炎は改善しますが、一部で慢性化することがあります。 長引く場合には、リウマチ専門医による継続的なフォローが重要です。