スイート病
スイート病は、発熱とともに顔や体幹に赤く盛り上がった痛みの強い皮疹が出る病気で、 血液中の白血球が皮膚に集まることが特徴です。
1. 疾患概念（どんな病気か）
急に始まる高熱と、痛みを伴う赤い盛り上がり（紅斑）が主な特徴で、 皮膚の生検で好中球が密に集まっていることが確認される疾患です。
2. 疫学的知見（どのくらいの人がかかるか）
比較的まれな病気で、中年の女性にやや多いとされます。 上気道感染後や、血液疾患、炎症性腸疾患、妊娠、薬剤との関連が指摘されています。
3. 病態生理（体の中で何が起きているか）
何らかの刺激により免疫反応が過剰になり、好中球という白血球が皮膚に集まって強い炎症を起こします。 原因は完全には解明されていませんが、サイトカインの異常な放出が関与すると考えられています。
4. 症状（どんな症状が出るか）
- 突然の高熱
- 顔面や首、体幹、腕などに出る赤く盛り上がった痛みの強い皮疹
- 全身倦怠感、関節痛、頭痛など
5. 検査（どのような検査をするか）
- 血液検査：白血球増多、炎症反応の上昇を確認します。
- 皮膚生検：好中球浸潤が主体の特徴的な所見を確認します。
- 背景疾患（血液疾患、炎症性腸疾患、悪性腫瘍など）の有無をチェックします。
6. 診断（どのように診断するか）
特徴的な皮疹と発熱、血液検査・皮膚生検所見を組み合わせて診断します。 感染症や血管炎など他の病気との区別が重要です。
7. 主な合併症（起こりうる別の病気・障害）
一部の患者さんでは白血病など血液疾患や悪性腫瘍を背景に発症することがあり、 原因精査が重要です。まれに、関節・眼・内臓に類似の炎症が及ぶことがあります。
8. 治療（どのように治す・抑えるか）
- ステロイド全身投与が最も効果的で、通常は速やかに改善します。
- 軽症例ではNSAIDsや局所療法で対応することもあります。
- 背景に血液疾患や悪性腫瘍がある場合は、その治療が重要です。
9. 予後（今後の見通し）
皮膚病変は治療に良く反応しますが、再発することもあります。 背景疾患の有無や重症度によって予後が左右されます。