好酸球性肉芽腫性血管炎
好酸球性肉芽腫性血管炎(EGPA)は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎に続いて、 血液中の好酸球が増え、小血管に血管炎が起こる病気です。
1. 疾患概念(どんな病気か)
長年の喘息やアレルギー性鼻炎を背景に、好酸球が増加し、 肺・神経・皮膚などの小血管に炎症・肉芽腫を起こす全身性血管炎です。
2. 疫学的知見(どのくらいの人がかかるか)
まれな疾患で、中年期に発症することが多く、喘息歴をもつ患者さんがほとんどです。 MPO-ANCA陽性例と陰性例があり、臨床像がやや異なることが知られています。
3. 病態生理(体の中で何が起きているか)
好酸球と呼ばれる白血球が血液と組織内で増え、 血管壁や周囲の組織に浸潤して炎症と肉芽腫を形成します。 ANCA陽性例ではANCAによる血管障害も加わります。
4. 症状(どんな症状が出るか)
- 長年の気管支喘息、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎
- 発熱、倦怠感、体重減少
- 咳・息切れ、肺浸潤影
- 手足のしびれ・痛み・筋力低下(末梢神経障害)
- 皮疹(紫斑、結節など)
- 消化管症状、心筋炎など
5. 検査(どのような検査をするか)
- 血液検査:好酸球増多、MPO-ANCA、IgE、炎症反応
- 胸部画像:肺浸潤影、結節影など
- 神経伝導検査:末梢神経障害の評価
- 組織生検:皮膚、神経などで好酸球浸潤と血管炎の確認
- 心エコー・心筋シンチなど:心病変の評価
6. 診断(どのように診断するか)
喘息歴、好酸球増多、臓器病変(神経、肺、皮膚など)、組織での血管炎・好酸球浸潤を総合して診断します。 他の好酸球増多症や寄生虫感染などを除外することも重要です。
7. 主な合併症(起こりうる別の病気・障害)
- 末梢神経障害による歩行障害・手足の機能低下
- 心筋炎・心不全
- 消化管穿孔、腎障害
8. 治療(どのように治す・抑えるか)
- 中〜高用量ステロイドが基本治療です。
- 重症例ではシクロホスファミドなどの免疫抑制薬を併用します。
- メポリズマブなど好酸球を標的とした生物学的製剤が用いられることもあります。
9. 予後(今後の見通し)
適切な治療により多くの患者さんで病勢のコントロールが可能ですが、 再発や神経・心臓後遺症が残ることもあります。 定期的なフォローと早めの再燃対応が大切です。