クリオグロブリン血症
クリオグロブリン血症は、血液中のたんぱく質が低温で固まり、 小血管につまりやすくなることで、皮膚・腎臓・神経などに障害を起こす病気です。
1. 疾患概念(どんな病気か)
クリオグロブリンという、冷えると沈殿する異常なたんぱく質が血液中に増える状態です。 それが血管内に沈着して血管炎を起こし、紫斑や腎炎、神経障害などを来します。
2. 疫学的知見(どのくらいの人がかかるか)
原発性の場合もありますが、多くはC型肝炎ウイルス感染、膠原病、リンパ増殖性疾患などを背景として起こります。 中高年に多くみられます。
3. 病態生理(体の中で何が起きているか)
クリオグロブリンが低温部位(四肢末梢など)の血管内で沈着し、 免疫複合体として血管壁を傷つけます。これにより血管炎や血栓が起こります。
4. 症状(どんな症状が出るか)
- 下肢の紫斑、皮膚潰瘍
- 手足の冷感・しびれ・レイノー現象
- 関節痛・筋肉痛
- 腎障害(蛋白尿・血尿・腎機能低下)
- 末梢神経障害
5. 検査(どのような検査をするか)
- 血液検査:クリオグロブリン測定(採血から検査まで温度管理が重要)、補体低下
- C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、自己抗体、単クローン性免疫グロブリンの有無
- 尿検査・腎機能検査
- 皮膚や腎生検:血管炎や免疫複合体沈着の確認
6. 診断(どのように診断するか)
血液中のクリオグロブリンの存在と、臨床症状・組織所見を組み合わせて診断します。 背景疾患(C型肝炎、膠原病、リンパ腫など)の有無も評価します。
7. 主な合併症(起こりうる別の病気・障害)
- 腎不全
- 難治性皮膚潰瘍
- 末梢神経障害
- 血栓症
8. 治療(どのように治す・抑えるか)
- 背景となるC型肝炎や膠原病、リンパ増殖性疾患の治療が重要です。
- ステロイドや免疫抑制薬、リツキシマブなどを用いることがあります。
- 重症例では血漿交換療法を行うことがあります。
- 保温など、四肢を冷やさない工夫も大切です。
9. 予後(今後の見通し)
予後は背景疾患や臓器障害の程度に依存します。 特に腎障害が強い場合には慎重な経過観察が必要です。 早期診断と適切な全身管理により、長期予後の改善が期待できます。