「褥瘡(床ずれ)」とは、病気や怪我等で十分に寝返りができなくなった時に、圧迫などの影響により皮膚がダメージを受け水疱や潰瘍になってしまう状態です。褥瘡は一旦発生し重症化してしまうと治癒までには大変時間がかかってしまいます。近年、ますますの高齢化に伴い寝たきりの患者様が増加しており、褥瘡発生のリスクは年々高まっております。
栃木医療センターでは、褥瘡発生を予防し、傷のないきれいなお体で退院して頂けるように、チーム医療で褥瘡対策に取り組んでおります。褥瘡を予防するために必要なことは、すべての患者様に対して入院時からリスクを評価し、患者様に合わせた適切な予防ケアを実施することです。病院全体で徹底してこの対策に取り組むために、当センターでは2002年から「褥瘡対策チーム」による活動を行っております。
チームは医師・看護師・栄養士・理学療法士・薬剤師等の多職種で構成され、各職種の専門性を生かした多面的で総合的な褥瘡ケアを目指しております。
*医 師 :皮膚科医師 2名(内1名が褥瘡対策委員長)
*看護師 :看護師長、副看護師長 各1名
看護師長、副看護師長 各1名
皮膚・排泄ケア認定看護師(チームリーダー)
各病棟および手術室からのリンクナース 約20名
*栄養士
*理学療法士
*薬剤師
* 褥瘡回診 2週に1回 ※褥瘡を有するすべての患者様を回診致します *スタッフ教育のための院内研修会 新人研修会 年3回 全体研修会 年2回 *会議およびリンクナース学習会 毎月1回 *褥瘡発生リスク者数、発生状況、転帰等の実態把握とデータの管理 *体圧分散マットレスの整備と管理 *手順の検討と周知徹底、マニュアル整備 *予防計画の確認・アドバイス *費用対効果を考えた材料の検討・管理 *学会や院外研修等に積極的に参加し、メンバー自らがモチベーションを高める |
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回診風景 | |
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研修風景 | |
WOCナースが中心となり看護師長、リンクナースと共に研修会を企画し、チームで協力して研修・指導を行います。 |
自分で思うように寝返りができない患者様の、体にかかる圧迫を軽減させる目的で使用する「体圧分散マットレス」は褥瘡予防には欠かせない物品です。
当センターでは患者様の状態に合わせて使い分けができるように、4種類の圧切換型エアマットレス(高機能タイプ、汎用タイプ、自動寝返り機能・リハビリ対応などの多機能タイプ2種)と、3種類の静止型マットレス(ウレタン、天然ゴム、ウレタンとエアのハイブリッド)を整備しております。
褥瘡対策チーム活動を開始して、20年目を迎えようとしています。褥瘡の発生率は低下し、当センターにおける院内発生褥瘡の発生率は1.0%以下になっております。
これは一般病院における褥瘡発生率の平均値1.2%(日本褥瘡学会調べ)よりも低い数字であり、チームメンバーの協力と現場スタッフの努力の結果が出ていると考えます。
しかしながら、数が少ないとはいえ当センターで褥瘡を発生してしまう場合もあります。私たち褥瘡対策チームは褥瘡発生ゼロを目指して、今後もチームで協力し、より効果的な対策が実現できるよう努力を続けて参ります。
褥瘡は難治性潰瘍であるため、治癒できないままに退院・転院になったり、治癒しても再発のリスクが高いために継続した予防ケアが必要な場合が多くあります。
褥瘡対策チームは、「地域に開かれた褥瘡対策室」として、退院後の患者様の褥瘡ケアに関するご相談をお受けしております。お気軽にお問合せ下さい。
【お問合せ先】
NHO栃木医療センター 褥瘡対策室
皮膚・排泄ケア認定看護師 遠藤 富美
TEL 028-622-5241(代)/ FAX 028-625-2718
お問い合わせには皮膚・排泄ケア認定看護師が対応致します。
必要に応じて当センターへの受診をお勧めする場合もございます。
また内容によってはお答えできない場合もあります。ご了承下さい。